建設会社の総務が『はたらくくるま』を真面目に考えた話

わたしは「事務」という仕事ではありますが建設業に携わっています。

基本的に現場には出ませんので、直接的に工事には関わらないけれど、契約書類や請求書、その他元請に提出するための各種の書類を作成することで、建設業に携わっています。いわば「建設業にメシを食わせてもらっている」立場なのだと言えます。

そうなると、建設業のイメージがどうにも悪い昨今の風潮については忸怩たる思いを抱くのは当然であって、なんとかしてこの業界のイメージを向上させたいと常日頃思っています。

そんなこんなの日常。いい歳こいたおっさんなので、町を歩けば頭の悪い替え歌が鼻歌として口をついて出てきます。


♪乗り物集まれ~ いろんな車~

♪どんどん出てこい はたらくくるま~

♪候補者名前を 連呼だ 選挙カー(選挙カー!)

♪軍歌を響かせ 走るよ 街宣車(街宣車!)

♪竹槍 出っ歯に シャコタン ヤンキー車(ヤンキー車!)

♪お金が大好き ○ニラ求人カー!(バニ〇求人カー!)

(どうにも全公開が憚られる内容につき、一部伏字にしていますがご了承ください)



……ん?

これか。これじゃないか。原因の一端は。

ということで今回のテーマはこれです。



ちびっ子たちのオールタイムナンバーワンヒットソング『はたらくくるま』

軽快なリズムとメロディーに乗せて、街中などいろいろなところで活躍する「車」を紹介する、子どもたちにとっての学習効果も非常に高い曲です。

とここまで書いて、最近のキッズたちのナンバーワンヒットは『Bling-Bang-Bang-Born』であるという言説を目にして急に自信がなくなってきましたが、気にせず続けます。


ではさっそく歌詞に登場する「車」を見てみましょう。


▼『はたらくくるま』登場する車一覧

1番:郵便車  清掃車  救急車  はしご消防車

2番:カーキャリア  パネルバン  レッカー車  タンクローリー

3番:フォークリフト  ブルドーザー  ショべルカー  ダンプカー


フォークリフト、ブルドーザー、ショベルカー、ダンプカー。建設業でよく見かける車たちはたしかに登場しています。しかし1番に「郵便車・清掃車・救急車」という国民的人気者が並ぶ中、建設業関係は3番にひっそり配置。

いや、ひっそりと言うか、「アリバイとしてまとめて突っ込まれている感」すらある。


この曲を聴くシチュエーションというものを考えてみますと、サブスクやYoutube音源で1番まで聴いたら、キッズたちはもう満足して次の『ホネホネロック』(←想像)にスキップしてしまうのではないかと思うのですよね。


背景にあるのは先述の「アリバイ的に建設業関係の車をこの辺に押し込めとけばいいや」的な作詞者の悪意なのか。それともこれを放送したフ○テレビによる「建設業の車は優先順位低い方がいいんじゃね?」という意向なのか。そのあたりの事情はわたしは知る由もありません。しかしいずれにせよ扱い酷くね?と思わざるを得ません。


さらに言えば、個人的には、説明なしだとイメージが浮かびにくい「パネルバン」よりも、これら建設業の車たちの序列が低いことに対しては、両の拳をぐっと握りしめる程度には憤りを覚える次第であります。そういえば本論には何も関係がないですが、冒頭の「郵便車」って地味にひどくないですか? 「郵便集配車」だと歌詞に収まりきらないのは重々承知ですが、もっと他に策はなかったのか。日本郵政グループはいまからでも遅くないので抗議したほうがいいんじゃね?みたいな。


……とここまでリサーチと思考を巡らせたところで、世の中には知らないことがまだまだあることを知らされました。

まさか『はたらくくるま』にも“シリーズもの”が存在していたとは……!

そう、あの『はたらくくるま』には続編として2と3があることをアテクシ今日初めて知ったのです!


そうか、これが業界団体の圧力(※想像)というやつか。

見えないチカラが金の力に物を言わせて
自分の業界の車を歌詞に押し込めるべく
続編を作らせたにちがいない!!!!(※あくまで妄想)

ああああ!!!!!(絶叫)





気を取り直して、『はたらくくるま2』『はたらくくるま3』の歌詞に登場する「車」たちを見ていきましょう。


▼『はたらくくるま2』

1番:パトロールカー  散水車  タラップ車  テレビ中継車

2番:幼稚園バス  宅配車  給食運搬車  冷凍車

3番:コンクリートミキサー車  耕運機  ロードローラ―  クレーン車


▼『はたらくくるま3』

1番:リムジンバス  トーイングトラクター  化学消防車  タクシー

2番:森林パトロールカー  田植え機  ポテトハーベスター  強力吸引車

3番:衛星中継車  サファリバス  ボトルカー  リリーフカー


これを見ると建設業で用いられる車はコンクリートミキサー車、ロードローラ―、クレーン車しかなくて(もう一つ、「パトロールカー」は警察車両じゃなくて道路パトロールカーのことなのでまあこれも広い意味では含まれますか)、『はたらくくるま3』の歌詞に至っては建設業の「け」の字もないラインアップに改めて深い深い落胆を覚える次第です。歌詞のなかで「ポテトハーベスター」と「トーイングトラクター」が明らかに浮いています。つかトーイングトラクターなんて初めて聞いて、アテクシ恥ずかしながらググりましたよ。ああ、あのあれをそう言うのね。加えて言えば田植え機や耕運機は道交法で「小型特殊」であって純粋な「車」ですらありません。なんじゃそら!

(なおこれらの車に乗って日々お仕事をされている方を否定しているわけではありませんので念のため)




将を射んとすれば、まず馬を射よ。

建設業のイメージアップはまずは子どもたちから。

そんなことを考えるに、この『はたらくくるま』シリーズでの建設業の扱いはそりゃないぜベイベーと言いたくなります。

このままではキッズたちが成長する機会に、ともすれば建設業の車たちが登場する3番までは歌われないのではないか? 言い換えれば、未来の建設業の担い手は、いま保育園で“はたらくくるま”を歌っている彼ら彼女らなのは言うまでもありません。しかし、そのキッズたちの脳内イメージに建設業の車が出てこないのは、業界にとって致命的すぎるのです。


とはいえ歌が世に出て数十年もの時が経過しています。いまさら歌詞の順番を変えてくれと言ってもたぶん無駄でしょう。聞いた話でどこかの国の国歌はもっぱら2番を歌う、みたいなことがあるようですが、このご時世「『はたらくくるま1』は3番を歌ってください」なんて命令しようもありません。誰が?誰に対して?どうやって?


そうなるともはやわたしたち建設業が取れる策は1つです。

『はたらくくるま4 ~けんせつぎょうスペシャル~』の作詞と、キッズたちが見るテレビ番組のCMでのヘビーローテーション。これしかありません。幸い、まだまだ登場していない建設機械はたくさんあります。基本的なところのバックホウやユニック車(クレーンを積んだ車のことです)から、果てはスクレーパやモーターグレーダ、ドラグラインまで、歌詞を覚えればそのまま施工管理技士2級の試験が解けるような歌詞にしてやりましょうぜ。目指すところはビックカメラやヨドバシカメラのCMソング状態。この2社のCMソング、もう認知度が広まりすぎて誰も原曲の存在を知らないじゃないですか。ここですよ、ここ。


ということで業界内のお偉い皆様、作詞のお仕事、お待ちしております!!!

もちろん歌唱はガチャピンとムックでオナシャス!!!


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